桜始開(さくらはじめてひらく)

 桜の花が開く春なのに、将来ある若い尊い命が散ってしまいました。今日の新聞朝刊の社会面は、二つの事件・事故の記事でした。栃木県那須町のスキー場で起こった雪崩事故と、千葉県我孫子市で起こった女児の殺害と思われる凶悪事件です。昨日までは、安全、平和で何にも不安がなかったはずなのに、一転してだいじょうぶでなくなる。とりわけ、抵抗できない小さい女児の命を奪った犯人には、強い憤りを覚えます。
 さて、今日は季節のことについて書きます。「二十四節気」のことについては、これまでも時々、6年生の教科書の中から引用して、お話ししてきました。今は、まさに【春分】です。およそ半月の期間です。さらに、それを3つの期間(5日)に分けることができ、七十二候と言います。そして、今が『桜始開』(さくらはじめてひらく)です。桜の花が咲き始める頃。桜前線の北上を日本中が待ち望む、お花見の季節の到来です。亀山東小学校の校庭の桜も、もう、開花までカウントダウンに入っています。先日の新聞に、今の季節にふさわしい記事がありましたのでご紹介します。(写真は、28日今朝の校庭、陰涼寺山の桜です)

 詩人・高階杞一(たかしなきいち)さんに、「春のスイッチ」という詩がある。<春になったら/花が/いっせいにひらく/どこかで/誰かが ポンと/スイッチを入れたみたいに/ぼくにも/こんなスイッチ あるのかなあ>▼どうも鳥には、そんなスイッチがあるらしい。春、つまり恋の季節の訪れは、日照時間が長くなることで分かる。「光の変化を感じ取るのは、目」と思っていたが、鳥たちは、脳の中に「第二の目」を持っているというのだ▼名古屋大学の吉村崇(たかし)教授の研究によると、鳥の脳の奥にあって食や睡眠を司(つかさど)る視床下部に、「オプシン5」という光に反応するタンパク質がある。これが日が長くなったことを感じ取ると、「恋のホルモン」の分泌が始まる。そうすれば、ウグイスならホーホケキョと鳴き始めるというから、まさに「春のスイッチ」ではないか▼オプシン5は、人間の目では見ることができない紫外線を、よく感知するそうだ。このタンパク質は、我々の目の中にもあるそうだから、目には見えない春の訪れを、きちんと感じ取れる「春のスイッチ」が、私たちにもあるのだろうか▼高階さんの詩は、こう結ばれている。<長い冬が過ぎ/いっせいに/ぼくのひらくような日が/いつか/ぼくにも/くるのかなあ>▼うつむかず、青空に向かって目を閉じれば、春のスイッチがそっと入る音が聞こえるかもしれない。